英国のEU離脱は、潔いと思う
あまりにもホットな話題なので、いろんな記事が既にあって、ぼくが書く価値なんてないのかもしれないけれど、思ったことを記しておく。
ぼくは、英国がこんな風に悩んでいたことを全く知らなかった。EUには、恥ずかしながらいいイメージしかなかった。そこには自由があって。いろんな国の人たちが仲間で。行き来が簡単で。通貨も同じだから便利で。
だから、EU離脱について国民投票している、というニュース自体には本当に驚いた。なぜこんな状況になっているのか、と気になって調べたりもした。
簡単に調べた限りでは、EU諸国には貧富の差があり、出稼ぎに来た優秀な他国の移民に仕事を奪われた人たちが、移民に対してネガティヴに感じている、と理解した。英語圏で裕福な国として、出稼ぎに行きやすい、という話も納得できる。
この件について、ぼくの周りの意見を見てみると、
「こんな大事な意思決定を国民投票で多数決で決めてしまうなんて危ういよね、筋が悪いよね」
なんて言う人がいたり、
「若い人たちは残留に寄っていて、年寄りが離脱に寄っている。先にいなくなる年寄りの投票権を制限したらどうか」
なんて言う人がいたり、どちらかというと残留派を支持する人が多い。
でもぼくは、「EUを辞めたい!!」という英国の意思決定を聞いて、潔いなと思った。 少なくとも彼らにとって、EUはそんなステキな存在ではなかったのだ。移民問題が全てなのかはわからないけれど、異文化の人たちと仲良くするのは簡単なことじゃないんだ。そんな声が聞こえてくるようで。
離脱派の中にも、経済的な視点を持てていた人もいたと思う。それでも、離脱したい、という意思を示した。それが表現された国民投票だったようにも思えてならない。
経済的に潤っても心が潤うかは別の問題だ。そういう意味で今回は、お金の潤いよりも心の潤いが求められた結果となったのでは、と思った。その結果は尊重されるべきだし、否定してよいのは同じ体験をしている英国人だけなんじゃないかな、と。
この件をもって、自身や自国のアイデンティティを確立していないと、異文化の人たちと協力しようとしても衝突したり飲み込まれないして、より良い世界を創っていくのはかなり難しいんだろうな、と思った。
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